国際問題評論家の金明哲氏が9日、次のような文を発表した。
(以下全文)
最近、米国が国家安全に対する「脅威」になるという名目で、19カ国の国籍者を米国入国禁止対象に指定する措置を発表した。
独善的、排他的、人種差別的な米国の傲慢な行為は今、国際社会の強力な糾弾と排撃を受けている。
もちろん、任意の国家が外国人の入国を規制して統制するのは、当該国の主権的権利領域に属する。
にもかかわらず、米国の上記の措置が国際社会から非難されるのは、それが他国を差別して圧迫するための悪意的な政治的道具になっているからである。
注目すべきなのは、一角で米国の今回の入国禁止対象に朝鮮民主主義人民共和国が含まれていない事実に注目し、それが朝米対話再開の扉を開けておこうとする米政府の宥和的な朝鮮に対する立場を反映したものかもしれないという、おかしな解釈が出ていることである。
朝米関係の過去と現在をよく知らないことに起因する一面的な判断としか言いようがない。
現在の米政権は、執権1期目の2017年に朝鮮民主主義人民共和国が米国政府との協力を拒否し、情報共有に応じていないという不当な理由で、入国禁止対象国リストに含め、執権期間中それを維持した。
執権2期目が始まった今年に入り、わが国を「対テロ非協力国」に再指定し、米国公民の朝鮮への旅行を全面禁止する措置の効力を再び延長させた。
米国の今回の入国禁止対象に朝鮮民主主義人民共和国が含まれていないのが単に、技術的理由のためなのか、それとも政治的意図によるものなのかは、米国だけが説明できることである。
しかし、一つだけ明白な事実は、われわれが米国の入国承認の可否に全く関心がないということである。
たとえ、現在の米政権が意図的にわが国を入国禁止対象国リストに入れなかったとしても、われわれはそれに興味がなく、大喜びする理由もない。
朝鮮民主主義人民共和国を最も敵視する国、他民族への蔑視と人種差別が社会的風潮として定着し、あらゆる社会悪がはびこる米国が、決してわが公民の旅行目的地として歓迎されることはない。
先日、現米政権のナンバー2である副大統領が、ある米国の大学で「思想的多様性」に欠けると非難し、わが国の政治体制に根拠もなく言い掛かりをつける荒唐無稽な詭弁を並べ立てたのも、われわれが米国という国に拒否感を抱く、もう一つの代表的事例である。
現米政権が、当事者が全く考えても、願ってもいない米国への入国を許可するからといって、われわれがそれをいわゆる「プレゼント」として受け止めると考えたとしたなら誤算である。
米国が、表で一方的につくり上げた不法なリストにわが国を入れようと入れまいと、それはわれわれの関心事ではなく、朝鮮民主主義人民共和国は過去と同様、今後も米国人のわが国への入国を歓迎しないと思う。
これは、米国のあらゆる敵対的脅威から国家社会制度と人民の福祉・安泰を守り抜くための正当で合法的な主権的権利行使であり、悪意に満ちた米国の偏見的な入国禁止措置とは全く性格が違う。
われわれは、誰かの希望的観測や主観的解釈に基づいて米国の行動を評価せず、足しも引きもせず現実をそのまま、そして自らの自主的判断をもって米国を相手取るだろう。
(了)
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