コリアニュース №415(2011.3.3)
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米政府高官ら、朝鮮との直接対話の必要性を主張
 米国と南朝鮮が朝鮮半島で大規模な合同演習を実施し地域の軍事的緊張を極度に高めている中、米政府高官らが朝鮮との対話が必要であると主張し出しており、中断されている朝鮮に対する食糧支援を再開する動きも出てきている。

 米国の自由アジア放送(RFA)などによれば、3月1日に開かれた米上院外交委員会公聴会でジョン・ケリー上院外交委員長は「米朝間の生産的な対話が6者会談再開の土台となり得る」「(米国の)沈黙は危機的状況をより悪化させる」とし、「最善のオプションは南と連携しながら適当な時期に北との二国間会談を始めることである」と主張しながら、対北対話は望ましくないという政治的論争を越えるべきと強調した。カート・キャンベル国務省東アジア担当次官補も、北と南の関係改善や非核化措置の実行などを条件に、「米国は朝鮮との関係正常化に向かう準備ができている」と述べた。また、スティーブン・ボスワース朝鮮政策特別代表は「米国は北朝鮮の政権交代(regime change)を望んでいない」「北の体制崩壊が朝鮮半島安定のための道だとは思わない」としながら、「私たち(米国)は、私たちが求める通りではなく、私たちが見た通りの北朝鮮と向き合うべきだ」と述べるとともに、「制裁そのものが対北朝鮮問題における完全な政策ではない」とも強調した。

 朝鮮に対する食糧支援については、同代表が「食糧支援は正しいこと」「人道問題であり政治問題ではない」と述べ、支援に関する朝米対話の可能性も示唆したほか、キャンベル次官補も「まだ決まったことはない」としながらも「南朝鮮との緊密な連携の下、関連事項が推進されるだろう」と述べるなど、米政府から肯定的反応が示されている。対朝鮮食糧支援は、2008年に米国が朝鮮への支援を約束した米50万トンのうち17万トンまで供給されたが2009年3月に中断されて以降残る33万トンが未だ供給されていない。

 これに関して米政府筋は、今後2週間以内に予定されている国連世界食糧計画(WFP)、国連食糧農業機関(FAO)などの共同調査報告書の提出を受けた後、4~5月頃に食糧支援を再開する見通しを示しているという。

 米国のこのような動きについて、オバマ政権の対朝鮮政策が「戦略的忍耐」から「対話路線」へと転換していくのではないかとの観測も出ており、今後の動向に注目が集まっている。(了)