コリアニュース №434(2011.6.17)
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「『戦略的忍耐』は重大な失敗」 ジョエル・ウィット元米国務省朝鮮担当官
 かつて米国務省朝鮮担当官を務めた、ジョンズホプキンス大学・米コリア研究所のジョエル・ウィット客員研究員は、米外交専門誌「フォーリン・ポリシー」(電子版)への寄稿文(16日付)で、朝鮮に対する米国の「戦略的忍耐」政策は「重大な失敗」であると厳しく批判した。

 ウィット研究員は、過去2年の間に3度も行われた金正日総書記の中国訪問や、その直後、李明博政権が自らの政治的目的から秘密裏に首脳会談を北側に提案していたことが明らかとなり今後の北南対話の可能性が大きく損なわれたこと、また、朝鮮・寧辺(ニョンビョン)の核施設が昨年公開されたことなどに言及し、これらの事実は「オバマ政権の政策が袋小路に陥ったことを明確に示すサインである」と指摘しながら、米国がこの(戦略的忍耐)アプローチを続けるなら、「南朝鮮に新たな大統領が現れるまでの2年間、北朝鮮との核交渉が行われないであろうことはほぼ確実である」と述べ、この危険な状況を変えるためには、ワシントンが同盟国だけでなく中国、ロシアからの支援のもと、(対朝鮮)政策を設定しなおし、朝鮮との直接対話によって核交渉を再開する努力をすべきであると主張した。

 特に北南関係についてウィット研究員は、重要な同盟国である南朝鮮を(米国が)避けているように見せないよう努めるアメリカ人の気持ちは理解できるが、「ワシントンは、李(明博)が政権の座にいられなくなる日が来ることを見据えるべきである」としながら、南の次期大統領は(現在の)誤った外交政策を継続しないであろうとの見通しを示した。この点については米戦略国際問題研究所(CSIS)のラリー・ニクシュ研究員も最近の自由アジア放送(RFA)とのインタビューで、「南の対北政策を全面的に支持してきた米国の信頼度は低下するかもしれない」「米国がいつまで南朝鮮の対朝鮮政策を支持するのかについてオバマ政権内で意見対立が激化するであろう」との見方を示している。

 ウィット研究員はさらに、米国の新たな政策は北南関係や核問題を包括的に扱うものとなるべきであり、それは、朝米双方が直接対話だけでなく6者会談の即時再開に合意することや、当事国らが核交渉の再開と朝鮮戦争停戦協定を平和協定に替えることに合意することなどを含むものとなろうと主張した。

 米国と南朝鮮の現在の対北政策が調和しておらず実質的に破綻している現在の状況は、両国に早急で現実的な政策の確立と実行を求めていると言える。(了)
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