3月30~31日に北京で行われた朝日外務省局長級政府間公式会談に参加した朝鮮側代表の宋日昊大使は4月1日、帰国に先立ち北京国際空港で記者団の前で、今回の会談について次のように言明した。
「30、31日の両日、長時間にわたり政府間協議を行った。
会談は1年4ヵ月ぶりにモンゴルで行った会談に続き、様々な問題、包括的な問題について真剣に、とても幅広く行われた。
われわれは、最近の朝鮮総聯の建物に関する東京地方裁判所の不当な判決について強い憂慮を表明し、この問題が朝日関係の進展の中で必ず解決されなければならない問題であるということを明らかにした。
総聯中央会館について言うならば、会館が建った歴史的背景、政治的環境、そしてその地位と役割を考えるとき、わが同胞たちの事業と生活の拠点であり、朝日両国間に外交関係がない中で実質的に外交代表部の役割を果たしているということを考慮し、いかなる場合でも、絶対に総聯中央会館が強制売却されることはあり得ないという点についての立場を表明した。
総聯中央会館問題は単純な実務的問題ではなく、朝日関係の進展の中で基礎となる問題であり、この問題の解決なしに、朝日関係の進展は必要ないと、われわれは考えている。
会談はこれからも引き続き行っていくほうが良いという見解に達し、正確な日時と場所は外交ルートを通じて確認することにした」。
前日の3月31日に日本側も外務省の井原純一アジア大洋州局長が、「北朝鮮側からは、特に今回は朝鮮総聯本部の不動産競売問題について、強い関心、そして懸念の表明があり、日本側からはこの問題についてのこれまでの経緯、現在裁判所によって進められている手続きについて丁寧に説明した」と述べた。
その後、記者団の質問に答えた小野啓一北東アジア課長は「朝鮮総聯の競売については、先方からは非常に強い関心、懸念があった。
我が方からは裁判所が現在行っている手続きの説明をした。
全体として、先方からは本件として、相当強い懸念表明、強い彼らの問題意識の表明があったということだ。
いちいちの表現は私が言うのは適切ではないが、『総聯の本部が在日の人たちにとっていかに重要であるか』、『それが、売却され、移転をするようなことになれば、それが彼らにとっていかに重要な意味を持つか』、『日朝関係に大きな影響を与えるであろう』というような強い問題の申し入れがあった。
それ以外に先方からは、「過去に起因する問題」の指摘があり、我が方は、平壌宣言に従って対応していくと示した。
…(総聯会館問題に関して)今は司法が手続きをしているので、行政府があるいは、政府が介入することはありえないわけで、そういう説明を申し上げたが、先方からは強い懸念が示された」と述べた。
1年4ヶ月ぶりに行われた今回の朝日政府間会談で、東京地方裁判所が競売の法的ルールを破って強行した朝鮮中央会館の売却決定が今後の朝日関係の進展を左右するもっとも大きな阻害要因であることが浮き彫りになった。
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