昨日、文部科学省が、朝鮮学校を認可している都道府県知事に対して「朝鮮学校に係る補助金交付に関する留意点について」と題する通知を、馳浩大臣名義で発送したことについて、本日、保護者をはじめとする朝鮮学校の代表が記者会見を行い、以下のような談話を発表した。
(全文)
文部科学省は昨日(3月29日)、文部科学大臣名義で、朝鮮学校が設置されている北海道と1都2府24県の知事に対して、「朝鮮学校に係る補助金交付に関する留意点について」と題する通知を出しました。
今回の通知が、自民党内において「北朝鮮による核実験やミサイルの発射」や「拉致問題への対応」などとして、「朝鮮学校への補助金を打ち切るべき」との理不尽な声があがる中で出されたということは、明らかです。
本来、拉致や核・ミサイルなどの外交・安保問題と朝鮮学校は何ら関係ありません。
にもかかわらず文部科学省が、朝鮮民主主義人民共和国と朝鮮総連との関係を問題視し、朝鮮学校・児童生徒に限って、本来各地方自治体の判断に委ねられている補助金交付について、わざわざ「留意」を促す異例の通知を出したことは、極めて政治的で差別的な措置と言わざるを得ません。
私たちは、文部科学省が政治的意図をもって、高等学校等「就学支援金」制度適用から除外したのに続き、地方自治体の補助金交付にまで介入しようとする、朝鮮学校・児童生徒たちへの前代未聞の差別的行為に対し、激しい憤りをもって断固糾弾し強く抗議します。
朝鮮学校に通う生徒たちは、日本による過去の植民地支配によって、日本に住むことを余儀なくされた朝鮮同胞の子孫であり、日本に永住し、日本の子供たちと手を携えて、朝日友好親善の懸け橋となりうる貴重な存在です。
また、朝鮮学校の保護者たちが日本国民と同様に納税義務を果たしていることは周知の事実です。
にもかかわらず、教育の振興や人材の育成をつかさどり、特に2020年の東京オリンピックを主管する政府機関である文部科学省が、子どもたちの等しく学ぶ権利を侵害し、民族差別を助長する措置を取ったことは断じて許されることではなく、国際社会の非難を免れることはできません。
国連人種差別撤廃委員会なども、朝鮮高校の「就学支援金」制度適用除外は差別にあたるとして、その是正を勧告しており、日本政府が地方自治体に対し、朝鮮学校に対する補助金提供の再開あるいは維持を要請することを奨励しています。
私たちは、安倍政権と文部科学省が、今回の通知を速やかに撤回し、朝鮮高級学校生徒たちへの「就学支援金」制度適用除外など、朝鮮学校・児童生徒たちに対する差別的措置を直ちに廃止することを強く求めます。
私たちは、地方自治体が、今回の不当な通知に良識をもって対処することと確信し、これを機に朝鮮学校に対する補助や助成が改善されることを切に願います。
全国朝鮮学園理事長一同、全国朝鮮高級学校校長会、朝鮮学校全国オモニ会連絡会
2016年3月30日
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