本日2日、日本政府が国家安全保障会議の閣僚会合で、朝鮮民主主義人民共和国に対する「独自の制裁措置」の強化を決定したことと関連し、朝鮮総聯中央常任委員会の南昇祐副議長が記者会見を行い、談話を発表した。
(以下、全文)
日本政府は本日、国家安全保障会議閣僚会合(NSC)で、国連安全保障理事会の新たな対朝鮮「制裁」決議を踏まえ、朝鮮民主主義人民共和国に対する日本独自の「制裁」を強化するとして、従来の再入国禁止措置と資産凍結の対象範囲を拡大することを決定した。
われわれは、今回の決定を、米国主導の不当な安保理決議に積極的に追随しながら、米・日・「韓」三角軍事同盟を強化し、朝鮮に対する経済的封じ込めを強めようとする悪辣な政治的意図のもと、対朝鮮敵視政策と朝鮮総聯に対する政治的抑圧を強め、在日朝鮮人の人権を著しく踏みにじる許しがたい行為として強い憤りをもって断固糾弾し強く抗議する。
今回の国連安保理の新たな「制裁」決議が、わが国の自主権と生存権、発展権を全面否定した不当極まりない行為であるにもかかわらず、日本政府が米国や朴槿恵政権と結託し、わが国に対する独自の「制裁」措置をさらに強めることは、朝鮮半島の緊張激化だけをもたらす危険な行為である。
今回の決定は、再入国禁止対象者の大幅な拡大、共和国への送金禁止、「万景峰-92」号をはじめとするすべての朝鮮籍船舶の入港禁止などを定めた前回の不当な措置をさらに拡大強化することによって、朝鮮総聯の公正な活動をより厳しく規制し、在日同胞の祖国往来の自由と初歩的権利をより深刻に侵害するものである。
在日同胞の再入国規制の範囲を拡大することによって、帰国した祖国に住む高齢化した親や兄弟に会う機会をさらに奪うことは、きわめて非人間的かつ非人道的行為である。
日本が、敗戦後70年の今日に至るまで、植民地支配の犠牲者である在日同胞とその子孫に対し過去を償うどころか、差別・抑圧し続けていることは、世界に類を見ない「人道に反する罪」であり、国際法や戦後の国際常識からしても到底許されることではない。
今回の決定が朝日関係にも重大な影響を及ぶすことは明白である。
日本政府が今年2月に独自の「制裁」を復活・強化し、2014年5月の朝・日ストックホルム合意を一方的に破棄することによって、みずから対話の道を閉ざしたことは周知の事実である。
今回、日本政府が「対話と圧力」といいながらも、米国に追従し、独自の「制裁」措置を拡大強化することは、拉致問題を含む対話の可能性を完全に放棄するに等しい無責任な行為であり、制裁緩和と交渉を求めている人々をも落胆させることになろう。
朝鮮半島と北東アジアの平和と安全が切実に求められている今日、今回の決定は時代の流れに逆行し、朝日両国民の志向と利益に反するものである。
2006年10月の第一次安倍政権による「制裁」実施から10年が経過したが、その間、圧力と制裁がもたらしたものは、朝鮮半島の緊張激化と朝日間の不信と対立の悪循環のみである。
われわれは、安倍政権が朝鮮に対する不当な「制裁」を撤回し、朝鮮総聯に対する政治的弾圧と民族教育に対する不当な差別、在日朝鮮人に対する人権蹂躙を直ちに中止することを強く求める。
(了)
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