文部科学省が朝鮮学校を高校授業料無償化の対象から除外した事に対して、大阪朝鮮学園が、処分取り消しと無償化の指定義務付けを求めた訴訟で、大阪地裁は28日、「教育の機会均等と無関係な外交・政治的理由で朝鮮学校を排除しており、違法・無効だ」と指摘し、原告の全面勝訴を言い渡した。
これに関し大阪朝鮮学園は以下のような声明を発表した。
(全文)
大阪朝鮮学園は、「高校無償化」の適用を求めて日本国を相手どり、2013年1月24日に提訴し、4年6ヶ月、16回に及ぶ口頭弁論を経て、本日、判決言渡しを迎えました。
本日の勝訴判決は、行政の不当な差別行為を、司法が取り消すという画期的なものとなりました。
公正で平等な判断を下すべき司法が、強大な行政権力の意向を忖度せず正当な判決を下したものであると、これを歓迎いたします。
この判決は、法治国家・先進国を謳い、国際化、共存・共生の社会を目指す、日本において、朝鮮学校に対する公的助成からの排除の流れを断つ、礎となり、始発点、転換点となることでしょう。
また、朝鮮学校で学んでいる多くの子どもたちの教育への権利が改めて認められ、保障されたことをうれしく思い、我々の民族教育は正当であり、民族教育は法的保護に値する権利であることが証明されたと思います。
「悔しさ」を胸に巣立っていった、数多くの朝鮮高級学校の卒業生や生徒たちの無念を晴らす何よりもの「吉報」でもあります。
我々は、文部科学省の申請書類の作成や調査、視察、質問などに対して、真摯に応対し、誠意をもって対処してきたにもかかわらず、唯一、朝鮮高級学校だけが、指定どころか、挙句の果てには「除外」されました。
国連人種差別撤廃委員会も、日本政府に対して、朝鮮学校に「高校無償化」制度の適用と、地方自治体には補助金の再開・維持を要請するよう勧告しています。
「高校無償化法」は、政府自らが、政治的判断や外交上の問題ではなく、教育上の観点から客観的に判断し、「すべての意志ある高校生」が対象であると言っていたものであります。
それがやっと実現しようとしています。
「教育への権利」は、差別があってはならないし、平等でなければなりません。
学習権、こどもの権利は、何人も侵してはならない世界共通の神聖な権利であります。
本日のこの『勝利』は、「朝鮮高級学校無償化を求める連絡会・大阪」のメンバーをはじめとする多くの日本人、丹羽雅雄弁護士を筆頭とする弁護団、大阪はもとより日本全国の心ある方々や韓国の市民運動からの物心両面にわたる大きな支援の賜物であります。
我々の裁判闘争を支えてくださり、協力・支援をしてくださった全ての人々に心からの謝意を表します。
また、公正な判断を下された裁判長をはじめとする裁判官のみなさまに敬意を表します。
日本政府は判決を真摯に受け止め、控訴することなく、すみやかに停止していた7年間の「就学支援金」を支給するよう強く求めるとともに、国家による「民族差別」をやめ、地方自治体の補助金再開を強く求めていく所存であります。
(了)
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