29日、朝鮮外務省の李容浩(リ・ヨンホ)外相が国連総会で以下のような演説を行った。
(要旨)
平和と発展は現代の共通の志向であり、国連の全ての活動を規定する基本目標である。
こんにち、世界の多くの国が平和と発展のために努力を傾けているが、依然として深刻な挑戦に直面している。
金正恩朝鮮労働党委員長は今年4月、社会主義経済建設に総力を集中することに関する新たな戦略的路線を示した。
金正恩委員長は、朝鮮半島を核兵器も核の脅威もない平和の場につくるための確固たる意志を持って果敢な首脳外交を展開し、北南関係と朝米関係を改善して周辺諸国との友好協力関係を活性化するための重大な突破口を開いたことで、朝鮮半島情勢を劇的に緩和する新しい局面を開いた。
朝鮮半島の平和と安全を強固にする上での要は、去る6月にシンガポールで行われた歴史的な朝米首脳会談で合意、採択した朝米共同声明を徹底して履行することである。
朝米共同声明が円滑に履行されるためには、数十年間積もった朝米間の不信の障壁を壊すべきであり、そのためには何よりも朝米両国が信頼醸成に尽力すべきである。
朝鮮半島の非核化も信頼醸成を優先させることを基本にし、平和体制構築と同時行動の原則で、できることから一つずつ段階的に実現しなければならないというのがわれわれの立場である。
しかし、これに対する米国の相応の回答をわれわれは見ていない。
朝米共同声明の履行が膠着状態に直面した原因は、米国が信頼醸成において致命的な強権の方法にしがみついているためである。
最近の北南関係で現れている改善と協力の雰囲気は、信頼醸成がどのような決定的な役割を発揮できるのかをはっきり示している。
北南の首脳は、5カ月足らずの短期間に3回の会談を通じて、北南関係の諸問題を建設的に解決する上で必要な信頼を築き、その結果が現実に現れている。
9月19日に北南の首脳が共同発表した歴史的な「9月平壌共同宣言」が示すように、今年に入って北南間の政治、軍事、人道、スポーツ・文化を含む多くの分野で対話が活性化し、和解と協力の気運が高まった。
米国の政治的反対派は政敵を攻撃するための口実として、わが国を信じられないと中傷しており、われわれが受け入れられない一方的な要求を持ち出すことを政府に脅迫して対話と交渉が順調に進めないよう妨害している。
対話相手に対する不信をあおって強権の方法だけに頼るのは、決して信頼醸成に役に立たないし、逆に相手の不信だけをさらに加増させるだけである。
朝米首脳会談の最も重要な精神の一つは、双方が以前の状態から脱して完全に新しい方式で問題を解決することに合意したことである。
米国はこの重要な時に、自分がシンガポールでの約束を誠実に守ることが究極的には米国の国益にもつながるという先見の明のある判断を下し、朝米関係解決の新しい方式を堅持すべきであり、そのようにするときだけが朝米共同声明の履行の展望を見通すことができるであろう。
朝米共同声明が米国の国内政治の犠牲になるなら、それによって生じる予測不可能な結果の最も大きな犠牲は、まさに米国自身になるであろう。
朝米関係と朝鮮半島問題を解決するのは、本総会のテーマに選定された「全てに必要な国連建設、平和かつ平等で持続的な社会のための世界的な指導力と共同の責任」を実現する上で中核の事項になる。
朝米共同声明を履行するのは朝鮮と米国の共同の責任であると同時に、これには国連の役割もある。
朝鮮半島の緊張状態に対してあれほど「懸念」を表明した国連安全保障理事会が今年に朝鮮半島に到来した貴重な平和の気流に未だ背を向けているのは、決して正常とは言えない。
逆に国連安保理は朝米首脳会談と共同声明を歓迎する議長声明の発表を求める一部加盟国の提案も拒否する極めて憂慮すべき態度を取っている。
さらには、南朝鮮駐屯「国連軍司令部」は北南間の板門店宣言の履行まで阻む不穏当な動きを見せている。
「国連軍司令部」について言うなら、国連の統制から離れて米国の指揮だけに従う「連合軍司令部」にすぎないが、今も神聖な国連の名を盗用していることが問題である。
国連と、特に国連安保理は憲章に規定されている自己の使命から当然、国際平和と安全に役立つ事態発展を支持、歓迎して鼓舞すべき責任と義務がある。
国連は、本総会のテーマを朝鮮半島問題解決のための実際行動に具現することで、国連安保理は即ち米国であるという汚名を一日も早くすすぐべきである。
(了)
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