南のインターネットメディアNEWSISが、3月15日に平壌で記者会見を行った朝鮮外務省の崔善姫次官の発言文(全文)と質疑応答の録音(一部)を入手し、25日報道した。
AP通信などが伝えた概要とは一部異なる部分があるので以下に紹介する。
■崔善姫外務次官の発言文(全文)
私は本日、ここにお集りのわが国駐在各国外交及び国際機構の代表の皆さんに、現在の朝鮮半島情勢と朝米関係に対するわれわれの立場を通報します。
皆さんもご承知のように朝鮮民主主義人民共和国国務委員会委員長の金正恩同志の確固不動な平和守護の意志と大勇断によって、朝鮮半島では火と火が行きかった鋭い対決の雰囲気は徐々に消え去り、平和と和解の機運が宿り始めました。
歴史上はじめて朝米間で2度の首脳会談が行われ、北南間の緊張状態を解消し和解と団結、協力と交流にむけた積極的な措置が取られました。
特に昨年に続き今年2月にベトナムの首都ハノイでは、朝鮮半島の平和志向的な情勢が持続し、より一層発展することを望む全世界の期待と関心の中で、第2回朝米首脳会談が行われました。
われわれは今回の首脳会談で問題解決の唯一の出路であり、問題解決の道のりで必ず経なければならない必須的な経路を、双方の利害関係に沿って設定し、より慎重で信頼的な措置を取る決心を披歴しました。
しかし米国は、政治的利害関係に執着しながら、会談に真摯に臨みませんでした。
会談でわれわれが現実的な提案を提示したところ、トランプ大統領は合意文に「制裁を解除しても、朝鮮が核活動を再開する場合には制裁は可逆的である」という内容を含めるならば、合意が可能かも知れないという、伸縮性ある立場を取りましたが、米国務長官のポンペオやホワイトハウス国家安保補佐官のボルトンは既存の敵対感と不信の感情で、両首脳間の建設的な交渉努力に障害がもたらし、結局、今回の首脳会談では意味ある結果が出ませんでした。
今になって、われわれは今回の交渉で何が不足していたし、何がもっと必要だったのかについてもう一度考えました。
今回、米国は千載一遇のチャンスを逃したと思います。
わが国務委員会委員長同志は、トランプ大統領との会談の席上、シンガポール会談以降の260日間はいつになく忍耐と努力が必要な時期であったと述べられましたが、このような機会をつくるため、国内の多くの反対と挑戦にも立ち向かわれました。
事実、わが人民、とくにわが軍と軍需工業部門は、われわれが絶対に核を放棄してはいけないとしながら、わが国務委員会委員長同志に数千通におよぶ請願の手紙を送ってきています。
今回、わが国務委員会委員長同志は、朝米両国首脳が公約した6.12シンガポール共同声明を誠実に履行し、朝米間に信頼を積み重ね、双方が公約した内容を段階的に一つ一つ実践するという意志を持って、実に容易ではない首脳会談の道に向かわれました。
われわれが今回見たところによると、米国側は朝米関係の改善やその他の6.12共同声明条項の履行には一切関心がなく、唯一われわれとの交渉それ自体と、それを通じた結果を自らの政治的功績にするために利用しようとしていると感じました。
新たな朝米関係樹立と朝鮮半島の恒久的で強固な平和体制の構築、朝鮮半島の完全な非核化など、6.12共同声明で合意された事項を履行するための実践的な結果をつくるよりも、唯一、自らの政治的利益になる結果さえ得られればそれでいいというのが米国側の計算でした。
今回、首脳会談を通じて私は、70余年間敵対関係にある朝米両国が1,2枚の文書をつくることさえも、どれほど難しいことなのかを改めて見て感じました。
われわれは今回、国連安保理が2016年以降、われわれの核実験と大陸間弾道ミサイルの試験発射にかこつけてつくり上げた「制裁決議」第2270号、第2321号、第2375号、第2397号の中で、民需分野と人民生活に支障をきたす項目を解除する部分的な制裁緩和を要求しました。
トランプ大統領が毎日のように言及しているように、われわれがこの15か月間、核実験と大陸間弾道ミサイルの試験発射を中止している状況のもとで、このような制裁が残り続ける何の名分もありません。
それについては国連安保理が一層明確に答えることができると思います。
われわれの核実験や大陸間弾道ミサイルの試験発射に言いがかりをつけて出された国連安保理「制裁決議」には、「朝鮮民主主義人民共和国が決議を順守する程度に沿って、制裁を強化、修正、保留、解除する準備ができている」という文言が明確に記されています。
今回の会談で私が感じたことは、米国の計算方法が実におかしいということです。
米国が、われわれがこの15か月間、核実験と大陸間弾道ミサイルの試験発射を行っていないと言葉では多く発しておきながら、それに相応した該当する国連制裁を解除する措置を取らず、むしろここに突拍子もない非核化問題まで持ち出し、非核化しなければ制裁を解除できないという、とんでもない詭弁まで並べたてました。
それでは、米国の計算方法はいったい何処に基づく計算方法なのかということです。
そうかと思えば、第2回首脳会談以降、米国の高官の中では実に不快な発言が続いています。
特にホワイトハウス国家安保補佐官のボルトンは、対話相手のわれわれに対して言葉を使い分けることもできず、自分の口からどんな言葉が出ているのかもわからず、むやみにしゃべりたてています。
このようにわが最高指導部とわが人民の感情を傷つける時、その結果がどのようなものなのか、はたして責任を取れる発言をしているのか、本当に憂慮せざるを得ません。
私はすでにハノイでわが最高指導部の立場について一度言及しています。
今も私は明確に国務委員会委員長同志が、米国の計算方法に対して疑問を持たれており、このような交渉をする必要があるのかと考えておられると思います。
帰国される途上で、このような列車旅行をなぜ再びしなければならないのかというお言葉を聞き、わが委員長同志の考えを読み取ることができました。
明確にしますが、今のような米国の強盗的立場は事態を明らかに危険に陥れるでしょう。
われわれは米国といなかる妥協もする考えはなく、まして今回のような交渉に臨む意欲も計画もありません。
私は、最高指導部がすぐに決心を明確にすると思います。
■質疑応答の一部:
・青瓦台の文正仁大統領外交安保特別補佐官が述べているように、今の時点で南朝鮮が仲裁者の役割をするのは難しいと思います。
なぜなら、仲裁者は朝米会談に如何なる利害関係も絡んではならないからです。
しかし、南朝鮮は米国と同盟関係にあり、問題の当事者とてしての位置にもあります。
よって南朝鮮は仲裁者の役割は難しく、促進者の役割ができるという発言を(文正仁特別補佐官が)しました。
私は(文正仁特別補佐官の)発言を聞き、それが(文在寅大統領の役割が)仲裁者よりも促進者としての役割と理解しうるのではないかとそう思いました。
・(ポンペオ長官とボルトン補佐官がトランプ大統領に助言すればするほど、会談の雰囲気が悪くなったということに言及しながら)それにも関わらず、両首脳間の個人的な関係は依然として良好で、相性の良さは不思議なほど素晴らしい。
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