コリアニュース №942(2023.5.26)
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東南アジアは米国の代理戦場になってはならない

朝鮮中央通信によると国際問題評論家のリ・ジョンス氏が24日、次のような文章を発表した。

(以下全文) 米国が吹き寄せた「新冷戦」の狂風が、東南アジア地域の温和な空気を一変させている。

今年1月、米海軍強襲上陸艦マーキン・アイランドがシンガポールに現れ2年ぶりに合同軍事演習を再開したのに続き、2月末~3月初めにタイで10年以来最大規模の「コブラゴールド」合同軍事演習が、4月にはフィリピンで1万2000人余りの米軍をはじめとする膨大な武力が動員され、南シナ海で史上初の実弾射撃訓練を含む「バリカタン」合同軍事演習が次々と行われた。

2022年の一年だけでも、南シナ海で米軍の軍事演習回数が100余回、偵察行為が1000余回に急増し、米原子力空母打撃集団の配備期日が2021年の4日~6日から10日以上に増えた中、大きさが23階建ての建物に匹敵し、面積が4つのサッカー場を合わせたほどの巨大な鋼鉄の怪物である米原子力空母が4月24日、10余年ぶりに初めてタイに現れた。

注意を払うべきことは、主に個別の国々との合同軍事演習と武装装備の提供に限られてきた米国の軍事的浸透策動がいまでは、日本、オーストラリアのような目下の同盟国と東南アジア諸国を連結させる新しい同盟圏形成へとつながっていることである。

4月11日、米国はフィリピンと行った外交および国防当局者(2+2)会談で、南シナ海で「志を同じくするパートナー」との多角的な海上安保活動を拡大し、「AUKUS(オーカス)」との協力を強化することで合意したのに続き、4月30日~5月4日のフィリピン大統領の米国訪問期間、米国、フィリピン、日本、あるいは米国、フィリピン、オーストラリアの3者協力方式を樹立する問題を公式に論議した。

国家間の軍事協力は、当該諸国と地域の平和と安定を図る目的である場合、当然歓迎されるべきであるが、米国は他の目的を追求している。

他国を侵略し、併合するのを神から付与された「明白な運命」という「マニフェストデスティニー」を思想的支柱にして侵略と戦争を通じて肥大化した米国は、第2次世界大戦後、自国が「憲兵」役も、「裁判官」役も務める一極世界をつくり出し維持するうえで、常に他国を代理戦争の主役に押し立ててきた。

米国は、1953年末から社会主義諸国に反対して日本を起点に南朝鮮、台湾、フィリピン、南ベトナム、タイを経てパキスタンに至る「半月型包囲圏」を形成するという「三日月計画」に従って日本、南朝鮮との3角軍事同盟の樹立に拍車をかける一方、「アンザス(ANZUS)」(1951年)、「SEATO」(東南アジア条約機構、1954年)、「CENTO」(中央条約機構、1955年)など各種の安保同盟を次々とつくり上げたが、このような旧習は今日、「Quad(クアッド)」と「AUKUS(オーカス)」へと受け継がれている。

米国の指揮棒に合わせ欧州大陸でNATOが、ブレーキのきかない戦車のごとくロシアを圧迫するための「東進」を続けており、アジア太平洋地域では日本と南朝鮮、オーストラリアを経て台湾と東南アジアへとつながる米国主導の「西進」が本格化する中、先日、米国の斡旋で日本が自国にNATOの連絡事務所を開設することにしたのは、「アジア版NATO」創設へとつながる「東西挟み撃ち」がいまや実行段階に入っていることを証明している。

世界を騒がしているこれら全ての行為は、米国が欧州では欧州人同士で、アジアではアジア人同士で争わせるという「ニクソン・ドクトリン」の亡霊を呼び覚ませていることを示している。

現代は自主性の時代であり、東南アジアはもちろん、世界のどの地域も米国の代理戦争の場と化すのを願っていない。

現実は、平和な環境と安定した経済発展を志向する東南アジア諸国の共通の念願に逆行して不信と反目、対決と衝突の火種を蒔いている張本人、地域全体を劇甚な不安定に追い込み、戦争を招いている元凶は、他ならぬ米国であることをはっきり示している。

東南アジア諸国は、地域を自分らの覇権的地位を守るための代理戦場に変えようとする米国の策動に警戒心を高め、それに反対・排撃することで、真の平和と安定、正義を守っていくうえで自らの責任と役割を果たしていくべきであろう。

(了)

米・日・南朝鮮3者情報共有体制の樹立は3者の危機共有へつながるだろう

朝鮮中央通信によると国際問題評論家のカン・ジンソン氏が25日、次のような文章を発表した。

(以下全文) 21日、日本の広島で米国と日本、南朝鮮の執権者が対座し、われわれのいわゆる「脅威」や「挑発」を取り上げ軍事共助強化のための新たな悪巧みを謀議した。

わずか2分にもならない「略式会談」なるところで、敵対勢力は「北朝鮮ミサイル警報情報のリアルタイム共有」のような3者安保協力を論議した。

今から9年前、米国が日本と南朝鮮を強迫して情報共有約定(TISA)なるものを作り上げ、軍事分野における3角共助を初めて公式に制度化したのは周知の事実である。

それだけ、米国は3角軍事共助強化において、われわれを標的にした軍事情報共有に最優先順位を付与し、絶えず推し進めてきたし、近ごろは破棄の危機に直面していた日本と南朝鮮軍事情報保護協定(GSOMIA)の原状回復を背後で支援している。

しかし、米国を経由してのみ情報を共有できるTISAと、要請があるときにのみ情報を互いに交換できるGSOMIAを通じては、北東アジア地域の戦略的ライバルの動向を恒常的に追跡、掌握することができないというのが米国の悩みである。

このことから、米国は在日米軍と南朝鮮駐屯米軍、日本の「自衛隊」、南朝鮮軍が各々利用する指揮統制システムをインド太平洋司令部に接続させて、リアルタイムで軍事情報を共有できる体制を構築しようとしている。

米・日・南朝鮮の執権者が昨年11月、カンボジアのプノンペンでミサイル警報情報のリアルタイム共有を公約したのに続いて、今回またもそれに対して再確認したのは3者情報共有体制の樹立問題が最終段階で推進されていることを示唆している。

すでに、6月初めにシャングリラ対話を契機に米・日・南朝鮮の国防当局者が対座して3者情報共有に関する合意にこぎつけるといううわさが立っているのは偶然ではない。

米国が日本、南朝鮮との3者情報共有体制の樹立を最優先的に推し進めている目的は何か。

近年、米国はインド太平洋戦略の遂行において中核的な軍事戦略的意義を持つ北東アジア地域に米・日・南朝鮮3者軍事同盟、「アジア版NATO」を設けるための投資を惜しまないでいる。

日を追ってさらに頻繁になっている米戦略資産の北東アジア地域での展開と米・日・南朝鮮3者合同軍事演習はすでに、軍事同盟の水準で公然と強行、実施されている。

特に今年の4月、米大統領が南朝鮮の執権者をホワイトハウスに呼びつけ「核協議グループ」の創設を宣布したのに続き、日本もそれに加担しようと画策している現実は、遠からずNATO式核共助同盟に変貌する米・日・南朝鮮の3角軍事共助の仕上がりを予告している。

これに、リアルタイムの3者情報共有という新しい機能まで追加されるというのは、北東アジア地域に一つの神経中枢を持つ名実相伴う米・日・南朝鮮軍事同盟が出現するということを意味する。

覇権の実現と海外拡張、同族対決に狂った上司と手先が、北東アジア地域を含むアジア太平洋地域で死角が全くない一体化した軍事情報を獲得する場合、それがどんな目的に使われるかは火を見るより明らかである。

こんにち、アジア太平洋地域には米国の邪悪な組分け式軍事対外政策の直接的所産である「AUKUS(オーカス)」と「FIVE EYES(ファイブアイズ)」、「QUAD(クアッド)」のような排他的で対決的性格の軍事・政治ブロックが地球上のどの地域よりも集中的に存在しており、これによって人類の平和と安全は甚だしく脅かされている。

勢力間の対決機運が日ごとに膨らんでいるこの地域で再び、新たな軍事同盟が出現する可能性があるという事実、それだけでも国際社会の不安と憂慮はさらに増大している。

まして、NATO式多国間核共助とリアルタイム軍事情報共有という危険極まりない複合機能を完備した軍事ブロックが、他でもない北東アジア地域に出現するということは、わが国をはじめとする地域社会の警戒心を最大に高めている。

われわれの神聖な安全空間を侵害する代価として、米・日・南朝鮮軍事ブロック構築の「名分」を立て、「アジア版NATO」をつくり上げ、アジア太平洋地域で軍事的覇権を実現しようとする米国の悪辣な対決の下心は、世界の平和と安全に対する最も重大な脅威である。

わが国と正義の国際社会は、米国とその追随勢力の反平和的組分けを絶対に黙過しないであろうし、強力な力で敵対勢力の誤った選択にそのつど絶望を与えるであろう。

米国と追随勢力が反共和国軍事同盟の強化と侵略戦争演習の拡大に狂奔するほど、終焉の安保危機になお一層さらされるというのは、今日の朝鮮半島の力学構図を貫いている方程式である。

この不変の方程式に、米国とその手先が3者情報共有体制という新たな変数を加えるなら、関数値は情報共有ではない危機共有として算出されるであろう。

(了)

朝鮮半島地域は対決と敵対心を鼓吹する欧州紳士を歓迎しない

朝鮮中央通信によると国際問題評論家のパク・ミョンチョル氏が25日、次のような文章を発表した。

(以下全文) 先日、欧州連合(EU)の理事会常任議長と欧州委員長が南朝鮮を訪問した。

日本の広島で開かれた陣営対決謀議で、傍聴人扱いされた彼らがどんな理由で南朝鮮地域を訪れたのかはわれわれに関係ないが、今回の訪問期間に見せた彼らの無分別な行動は、いわゆる一角を担うというEUの地位について再び考えさせるようにしている。

南朝鮮に足を踏み入れるや否や、非武装地帯を奔走して「北朝鮮の核武装化は地域平和の脅威」という不穏当な文章をツイッターに載せたかとすれば、会談や共同記者会見ではあたかも米国をそのまま真似てロシアと中国を次々と非難したあげく、「EUがロシアのウクライナ侵攻を許さないように、北朝鮮の核保有を決して正常なこととして受け止めない」と青筋を立てたのが彼らのしたことである。

やはり、今日のEUはいかなる独自思考や信条もなく、他国の真似だけをよくする熱烈なオブザーバーという認識をさらに固くさせるだけである。

彼らが口にしたわれわれの核保有国的地位について言うなら、初めからわれわれはEUに何かを認めてくれと求めたこともなく、そうする必要性も感じない。

われわれが日増しに分裂し、対米依存性だけが大きくなっているEUの現在の境遇に慣れていくように、今やEUもわれわれの核保有国的地位に慣れる方が良かろう。

今回、EUの為政者らはわれわれの自衛力強化が地域の平和を脅かすと不当に言い掛かりをつけたが、これは米国の組分け式同盟偏重政策に追随したあげく、戦略的独自性をほとんど喪失したEUの現住所を最も赤裸々にさらけ出した部分だと言える。

米国と追随勢力があえて喧伝する「政権の終焉」、「斬首作戦」、「平壌占領」などの反朝鮮レトリックの威嚇はさておいて、今、この時刻にさえ軍事境界線近くでくり広げられている侵略的性格の合同軍事演習に対してわざわざ顔を背け、南朝鮮の傀儡政権の歓心を買うのに没頭しているEUの振る舞いは、彼らの偽善的な正体と哀れな境遇をよく示している。

米国に追随してロシアを圧迫し、ウクライナ事態の勃発によって安保危機を招いたEUは、ウクライナに対する軍事的支援を引き出すためにやっきになったあげく、米国に軍事的に徹底して隷属した南朝鮮にまで哀願の手を伸ばし、朝鮮半島問題で極めて不公正で偏見的な態度を取っている。

しかし、朝鮮半島問題とウクライナ問題をまぜこぜにして傀儡との安保互助で利益をむさぼろうとするEUの打算はひどく間違っている。

すでに、片足がウクライナのぬかるみにはまっているEUが、大洋を越えて朝鮮半島へ疾走する米国の戦争馬車に、もう片足まで突っ込むなら、結果がどうなるかは想像し難くない。

それでも、一時はEUが朝鮮半島問題において客観性と公正さを維持したことで「公平な仲裁者」と評価されたこともあった。

しかし、今日のEUはバランスを完全に失った朝鮮半島政策を追求していることで、誰も認めず、歓迎もしない居候に転落した。

EUは、米国の対ロシア圧迫政策に盲目的に追随した結果生じた現在の安保危機を対朝鮮敵視政策に便乗することで解消してみようとする愚かな夢想から覚めるべきである。

朝鮮半島地域は、対決と敵対心を鼓吹する欧州紳士を決して歓迎しない。

EUは、現在のように米国の対朝鮮敵視政策に盲目的に追随するならば、米国と共に朝鮮半島緊張激化の責任をそのまま負うことになるということを肝に銘じるべきであろう。

(了)

●「朝鮮中央通信社」(日本語) http://www.kcna.kp/goHome.do?lang=jp

●エルファテレビ  http://www.elufa-tv.net/


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