コリアニュース №976(2024.1.5)
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朝鮮労働党中央委員会・金輿正副部長の談話
- 大韓民国大統領に送る新年のメッセージ –

朝鮮労働党中央委員会の金與正副部長は2日、次のような談話を発表した。

(以下全文) 新年を迎え、人々の間でお祝いと励ましの言葉を交わすのが仁義礼智なので、私も少なくない親しい人々に新年の挨拶を送っている。

そんな中、大韓民国大統領の尹錫悦が一日に発表したいわゆる新年の辞というものに接し、私がこの「恩師」への挨拶をうっかり忘れえていたことに気づいた。

「今年上半期までに増強された韓米拡大抑止システムを完成させ、北の核、ミサイル脅威を源泉封鎖する」だの、「北の核·ミサイル脅威に備え、韓国型3軸システムを強力に構築することにさらに拍車をかける」だのと、ただでさえ慌ただしい自国内に「北の核・ミサイル恐怖症」を拡散させるために新年早々余念のない彼に挨拶を兼ねて今まで立てた「功績」を「賛美」してあげたい衝動にかられた。

今、朝鮮半島の安保情勢が、すぐに戦争が起きてもおかしくないほど非常に危険な状態になり、安保不安が大韓民国の日常時になったのは、すべて尹錫悦大統領の「功績」だ。

権力の座を目指した時から思考能力と人格が非常に疑わしかったこの人間が執権後、終始「力による平和」を騒ぎ立て、拡大抑止力の増強と韓米合同軍事演習に没頭し、大韓民国の運命を危険の極致に至らしめたことについて、人々は口々に非難を浴びせているが、私は「称賛」したい。

揶揄に聞こえるかもしれないが、本心からの言葉だ。

米国の核戦略資産を引き入れ、大韓民国を「ターゲット」にさらしておきながら、一年中、「政権の終末」などの修辞的威嚇を口にしながら、無差別的に様々な規模の合同軍事演習を拡大強行することで、大韓民国の「主敵」であるわれわれの怒りを最大限に激昂させ、ソウルを狙った「引き金」の安全装置を完全に外させるような「能力」は誰もが持てるわけではない。

安保をすべて台無しにした尹錫悦大統領に対する非難が、そっちではこれからも強まることは明らかだが、われわれにとっては自衛的で当為的な不可抗力の軍事力を増強するのに、しっかりと「貢献」した「特等功臣」として「称賛」されている。

口では甘い言葉をささやきながら、懐には刃を隠し持った凶巧な人間より、相手に対し敵意を加減することなく表わす愚直で愚かな者を相手にするほうがはるかに容易である。

誰かを怖がらせるために米国の原子力空母や原子力潜水艦、核戦略爆撃機を目まぐるしく引き入れたおかげで、われわれは正々堂々と実効性のある軍事力を高度に発展させることができた。

北の政権と軍隊は「消滅すべき主敵」と規定し騒いでくれたおかげで、われわれは本当の敵が誰なのかを明確にし、敵対観を鋭い銃創のようにさらに研ぎ澄ますことができたし、「自由民主主義体制下の統一」を念仏のように唱えてくれたおかげで、「民族の和解団結」や「平和統一」のような幻想で、わが方の人々の目が曇らないよう覚醒させることができたし、なによりも、9.19北南軍事分野合意の条項に手をつてくれたおかげで、紙くず同然の合意に数年間拘束されていたわが軍隊の軍事活動は再び羽を伸ばせるようになった。

この「功績」がどうして大きくないと言えようか。

このようなご時世を迎えてみると、青瓦台の前主が思い出される。

文在寅。

実に英特で狡猾な人間であった。

無邪気で愚かなふりをして、われわれにすがりついては平和の包みを差し出してわれわれの手を縛っておいて、背を向けては、すべてを手に入れながらも、われわれが米国とその戦争臣下を抑止するための展望的な軍事力を培ううえで、様々な制約をもたらしたのが文在寅である。

われわれと向かい合っては、特有の巧みな口ぶりで「同じ血筋」だの、「平和」だの、「共同繁栄」だのと言いながら、「肉を切らせて骨を断つ」その腕前は並大抵ではなかった。

振り返ってみると、本当に扱いにくい相手であり、本当の安保を扱える人間だった。

われわれには核とミサイル発射実験の禁止を懇願し、背を向けては米国産「F-35A」を数十機ずつ搬入し、数隻の潜水艦を就役させ、主人にはひれ伏してミサイル発射制限措置の完全撤廃を実現させるなど、やることをすべてやったのが、まさに文在寅だ。

「笑う顔に矢立たず」というではないか。

文在寅のうわべの「平和意志」に足を引っ張られ、われわれが戦力強化のためにすべきこともできず、少なからぬ時間を浪費したことは大きな損失だった。

今考えてみると、もし第2の文在寅が政権を握っていたら、われわれとしては大変なことになっていただろう。

無知に近いほど「勇敢な」尹錫悦が大統領の座に就いたのは、われわれにとって二度とないチャンスである。

文在寅の時に損をした分の10倍、20倍、いやそれ以上の穴埋めができるようになっているからだ。

われわれが今満足し信頼する強大な軍事力は、尹錫悦の狂的な軍事対決姿勢がなかったならば、また泡を吐いて吠えるわが国に対する「崩壊」や「膺懲」などの無駄口がなければ、実際にこれほど短い期間内に増強されることが難しかったであろう。

うれしいというか、ありがたいというか、とにかく尹錫悦は今回「新年の辞」なるもので、今年上半期までに韓米拡大抑止システムを完成すると力説することで、われわれに対し再び、より圧倒的な核戦力確保にさらなる拍車をかけるべき当為性と正当性を与えてくれた。

われわれは、実に「貴重な贈り物」を受け取った。

われわれの軍事力強化に何の報酬も求めず、真味も知らずに「貢献」する尹錫悦大統領をどうして「特等功臣」と呼ばずにいられようか。

今、尹錫悦大統領が新年早々に「北風」と「銃風」を起こして使う対決狂態を見れば、ただでさえ危険にさらされている大韓民国のはかない運命を、昨年はまな板の上にのせたとすれば、今年は最初から棺桶の上にのせてしまう勢いである。

自分の行動、吐き出す言葉が、どんな結果を招くのかさえ何の心配もしない「勇敢な大統領」が出現したのは大韓民国にとってはどうなのかわからないが、とにかくわれわれにはこの上ない好機である。

私は、新年にも大韓民国の尹錫悦大統領がわが国の軍事的勢いの飛躍的強化のために引き続き「特色ある寄与」をすることを、もろ手を挙げて大いに歓迎する次第である。

(了)

●「朝鮮中央通信社」(日本語) http://www.kcna.kp/goHome.do?lang=jp

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